東京や大阪が想定される最大規模の高潮に襲われると、最悪の場合、それぞれ100兆円を東京と名古屋、それに大阪の三大都市圏では、国や自治体がそれぞれ想定される最大規模の高潮や洪水の想定を公表していて、土木学会の委員会はこれらを基に経済への被害について初めて推計しました。
浸水による建物などの直接の被害に加え、交通の寸断や生産設備の被害などによる1年余りにわたる経済への影響も推計した結果、いずれも最悪の場合、大阪湾の高潮で121兆円、東京湾の高潮で110兆円、伊勢湾の高潮で19兆円の被害が発生するおそれがあることがわかりました。
また、洪水では東京の荒川の氾濫で62兆円、愛知県の庄内川などの氾濫で25兆円、大阪の淀川の氾濫で13兆円の被害が発生するおそれがあるとしています。
一方、委員会は海岸や河川の堤防の高さを上げ、高潮や洪水が越えた場合でも壊れにくい構造に整備し直せば、高潮では3割から6割、洪水では6割から10割、経済被害を減らすことができると試算しています。そのうえで、堤防を強化する対策を段階的に行うよう国などに提言しています。超える経済被害が発生するおそれがあることが土木学会の推計でわかりました。
津波の被害を受ける恐れがある標高の低い地域に、国内の人口の2割近い約2200万人が住んでいることが分かった。名古屋大教授らが国の資料などに基づいて推計した。東日本大震災後、国や自治体は地震による津波を高く想定し直しており、「津波リスク」に直面する日本の現状が改めて浮かび上がった。
調査したのは、名古屋大減災連携研究センターの脇田久美子技術補佐員や福和伸夫教授ら。国土地理院が250メートル四方で標高を示した地図や国勢調査(2005年)をもとに分析した。
その結果、総人口約1億2800万人のうち2180万人が、主に沿岸部に広がる標高5メートル未満の地域に住んでいることが判明。国土面積で3・3%にすぎない場所に、人口の17%が集中していることが裏付けられた。都道府県別では、東京343万人▽大阪306万人▽愛知174万人▽千葉144万人――で、太平洋岸の大都市部がいずれも100万人を超えた。
※「-」は被害がわずか、「/」は想定していないことを示す。上水道、下水道、電力、ガスは直後の被害規模
地震発生翌日に最大430万人が避難所へ、270万人が親族・知人宅などへ避難。家庭内と公的備蓄で食料が計6340万食、飲料水は計13億3千万リットルあるが、不足量は1週間で食料が9600万食、飲料水は1億4500万リットルに達する。被災地内外での買い占め、道路の渋滞や寸断で配送が困難になること、保管スペースの不足、物資が届いても適切な管理や効率的な配分ができないことも想定される。